全員が同じ数字を見ることの重要性

企業内での数字の非対称性は、チームワークの阻害や意思決定の遅れを引き起こします。全員が同じ数字や指標を見ることで透明性が高まり、効率的な意思決定と問題解決が可能になります。この記事では、同じ数字を全員で見ることの重要性と、その具体的な方法についてお伝えします。
 

企業が抱える情報の非対称性

情報の非対称性、言い換えると、社内全員が売上・利益やKPIなどの数字を見ていないケースはよくあります。要因は色々考えられますが例えば下記のようなものがあります。
  • 特定の部署、チームでのみ数字を管理しており、他のメンバーが理解しづらい状態になっている
  • 上記のような状況にもかかわらず、週次や月次の報告レポートでは必要な情報が漏れている
  • 管理部門と事業サイドで異なる集計方法で計算しており、微妙にずれた数字を各々が見ている
  • 部署、チームで設定したKPIと、経営側で追いかけているKPIが異なる
上記のような現象は企業によってさまざまで、事業構造や組織構造、組織カルチャーなどの要因が影響しえます。

透明性の確保:共有することで生まれるメリット

全員が同じ数字を見れる状況を作れると、いくつかのメリットがあります。
  1. 数字を使って説明・報告する際に、数字の出所が明確で信頼性が担保される
想定シーン:一事業の責任者が経営陣に週次・月次報告をするMTG
当然ながら数字を使って報告・説明することになると思いますが、その時に経営側と事業側双方で見ている数字(例えば経営・事業ダッシュボードなど)を元に説明できると、信頼性が担保されます。どういう風に計算された数字なのかが分かっており、どこから取ってきている数字なのかが明確だからです。
 
逆に、別の場所で計算した数字を使うと、その数字の出所と計算方法を確認する必要がある場合もあります。数字の取り方を間違えていたり、計算ロジックがおかしいケースがあるためです。
 
  1. 同じ認識を持って社内コミュニケーションができる
想定シーン:営業メンバーと生産メンバーが参加する事業部内のMTG
通常、営業関連の数字は営業側が管理しやすいように集計・整理されます。同様に生産側の数字は生産メンバーが管理しやすいようになります。そうなるとフォーマットがバラバラで数字・指標への理解度にバラつきが出てしまい、同じ数字を見ているようで同じ認識を持てていないということが起きえます。
 
それに対し、事業部内で営業サイド・生産サイドの重要指標を整理集約してダッシュボード化しておくと、営業サイドと生産サイドで同じ認識を持ってコミュニケーションがしやすくなります。
 
  1. 上司と部下で情報格差が無くなり、情報の透明性が上がる
想定シーン:一事業部内で、部下が上司に仕事を任される時
上司と部下で取りに行ける数字に違いがある場合、前提となる情報が異なることにより仕事の成果物の良し悪しに影響する場合があります。よほど秘匿性の高い情報であれば慎重に取り扱う必要がありますが、そうでない場合はなるべく上司と部下で同じ数字を見て仕事を進められるとスムーズにいきます。

数字をもとに意思決定

全員が同じ数字にもとづいて判断・行動することで、より効果的な意思決定が可能になります。数字にもとづかずに意思決定する場合、その人その人のバイアスや勘に左右されてしまいます。結果的に良い判断となる可能性はもちろんありますが、数字を意思決定の材料とすることで確度が上がるはずです。

問題の早期発見と対応

全員が同じ数字を見ておけると、問題や課題が早期に発見され、迅速な対応が可能になります。そのためにはもちろん、タイムリーに数字を拾える必要があります。問題が起きた時にそれがすぐに発見されないと、対応に着手するまでの時間が多くかかります。そうなると取れる打ち手の選択肢が狭まる可能性が出てきます。
 
問題が早期に発見されれば、時間やコストがかかる解決策も採用できる可能性があります。この記事では全員が同じ数字を見ることの重要性をお伝えしてきましたが、正しい数字をタイムリーに可視化することももちろん重要なのです。

全員が同じ数字を見るための方法

全員が同じ数字を見るための方法はいくつかあると思いますが、経営・事業ダッシュボードを構築・運用するのは一案です。ゼロから始める場合、Looker StudioなどのBIツールやGoogleスプレッドシートなどでダッシュボードを構築運用し、社内の関係者が常に同じ数字を見れて分析できるようにすると良いです。
 
そのためにはデータを収集・整理したり、集計・可視化する作業があります。具体的な方法は、事業構造や社内で使っているシステムなど、状況次第で変わるため一概には言えません。ですが、全員が同じ数字を見えるようにして事業を前に進めていくことを目的とするのは変わりません。